2014年10月24日

旅短歌

徐々に徐々に
強くなるバスの揺れ方で
我東北に来たことを知る

福島と
育った街の埋立地
道路の亀裂似通っており

5分後の
南相馬へ行くバスに
乗りたくもあり乗りたくもなし

被災地と都市部を結ぶバスに乗る
観光客は
我一人なり

意気込んで南相馬の停車場
降りるも夜更
暗くて見えず

ジョナサンもガストもマックも休業中
その荒涼に
思い知らされ

歩き疲れ
漫画喫茶に宿を取る
避難区域のすぐそばにあり

東向く
遠い海まで見渡せる
その意味に気付き茫然と立つ

三陸の
今は優しき寄する波
割って砕いて裂いて散らした

残りしは大樹の裏の
一軒のみ
幸と不幸の境目を見る

野に建ちし仮設トイレの悪臭や
瓦礫のそばに
生活がある

この道を真っ直ぐ行けば
浪江町双葉町だと
標識が言う

立入を禁ずる封鎖のすぐ脇の
関所のような
セブンイレブン

辛うじて動きし駅に生き残る
立ち食い蕎麦の
驚く不味さ

徐々に徐々に
揺れが遠のくバスの中
寝てしまう前再来思う


posted by 淺越岳人 at 16:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 啄木ごっこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月23日

プロレスファン短歌2

182cm100kg
前にして
我生娘の如く恥じらう

試合後に
水道橋から錦糸町
歩けど夜風じゃ火照りは消えず

アメリカの聞いたことない団体の
ガイジン選手
妙に気になり

飛び技に頼り過ぎとは思えども
隣の子供
スゲーと叫び

近頃の若手の成長頼もしく
見知らぬ客と
語り合うなり

いつの間に100kg越えし若手いて
これが世に言う
親心かな

雑誌より
テレビより先ず雄弁な
ボディスラムの生の音なり

マスクマン
正体不明の正体に
ドロップキックのフォームで気付き

理にかなう一点集中膝攻めを
地味だと言われ
歯を食いしばる

金の雨
降らせしドロップキック観てふと凱旋のドームを思う

応援す
レスラー敗れ涙する
この友は多分生涯の友

行けるはずのなき遠方の大会の
セミファイナルが
手帳開かせ

ストロングスタイルという謎掛けに
悩まされる日を
大晦日と言う

帰り道
電信柱にエルボーす
肘の痛みと痺れに満足

できるなら
ロメロスペシャル喰らいたい
そして痛みで失神したい

デスマッチ
蛍光灯の砕け散る
その美しきに青春見たり

勝ちたいと
誰より思いし君だけど
敗け姿こそ刻み込まれる

 幕末にプロレスあれば高杉も
あんな辞世は
読まなかったか

燃え尽きる
その瞬間まで燃え盛る
絶対王者は王者であった

鉄人の鉄人たるを見届けに
集まる人が
鉄人創り

避けないの?
尋ねる人を捕まえて
石井柴田を見せて回らん

生きて行く
敗けて汚され棄てられて
どうせ立つならカウント1で


posted by 淺越岳人 at 08:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 啄木ごっこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月22日

プロレスファン短歌

みちのくの
タイトルマッチを一目見ん
一目見んとぞ唯に急げる

ノーロープ有刺鉄線地雷原
エニウェアフォール
6人タッグ

長州か鶴田か馬場か天龍か
結局猪木か
ただ夜は更ける

外敵に中指立てし女いて
恋と言わずに
何と言うやら

「決まったか!
フォールに入った、いや返す!
カウント2.999!」

今日はまあ
一日取るもの手につかず
思い馳せるは両国なりけり

プロレスをヤラセと言いし友といてモカ珈琲は斯く程苦し

「このカードいいね」と君が言ったから10.6はプロレス記念日

posted by 淺越岳人 at 00:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 啄木ごっこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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