徐々に徐々に
強くなるバスの揺れ方で
我東北に来たことを知る
福島と
育った街の埋立地
道路の亀裂似通っており
5分後の
南相馬へ行くバスに
乗りたくもあり乗りたくもなし
被災地と都市部を結ぶバスに乗る
観光客は
我一人なり
意気込んで南相馬の停車場
降りるも夜更
暗くて見えず
ジョナサンもガストもマックも休業中
その荒涼に
思い知らされ
歩き疲れ
漫画喫茶に宿を取る
避難区域のすぐそばにあり
東向く
遠い海まで見渡せる
その意味に気付き茫然と立つ
三陸の
今は優しき寄する波
割って砕いて裂いて散らした
残りしは大樹の裏の
一軒のみ
幸と不幸の境目を見る
野に建ちし仮設トイレの悪臭や
瓦礫のそばに
生活がある
この道を真っ直ぐ行けば
浪江町双葉町だと
標識が言う
立入を禁ずる封鎖のすぐ脇の
関所のような
セブンイレブン
辛うじて動きし駅に生き残る
立ち食い蕎麦の
驚く不味さ
徐々に徐々に
揺れが遠のくバスの中
寝てしまう前再来思う